アディダスVS
プーマもうひとつの代理戦争。世界のスポーツ市場で競い合う「
アディダス」と「
プーマ」。この両ブランドは、ドイツの小さな村で反目し合う2人の兄弟、
アドルフ・ダスラーと
ルドルフ・ダスラーによってそれぞれ設立された。両社は長年にわたって火花を散らし、
スポーツビジネスを様変わりさせた。綿密な調査・取材で、その内幕を描く。1920年代、ダスラー兄弟は製靴事業で成功を収めた。だが、2人は正反対の性格で、しばしば衝突を起こすようになる。48年、アドルフは自分の名前と姓を縮めた
アディダスを、ルドルフは名前をもじった「ルーダ」をより軽快にした
プーマを立ち上げる。
アディダスはメルボルンオリンピックで選手に靴を無料配布し、ブランドを浸透させた。次のローマオリンピックでは
プーマも一流選手と接触し、靴を無料提供する。次第に舞台は、
サッカーのワールドカップなどにも広がり、有名選手の囲い込みが激化する。やがて、衣料分野にも進出し、様々なチームとスポンサー契約を結ぶようになる。「ナイキ」など他メーカーも絡み競争はさらに激しくなっていった。ワールドカップは国と国との代理戦争と呼ばれる。舞台裏では巨大利権と有名選手を巡り、また別の熾烈な争いが繰り広げられていることが分かる。